人は死んで荼毘に付されると骨と歯だけが残りますが、お釈迦様の残された骨は「仏舎利、歯は「仏牙舎利」または「仏歯」と呼ばれて特別の扱いを受けています。

お釈迦様は紀元前5世紀に入滅したとされていますが、その遺骨は分骨されてインド各地に渡り、犬歯はインド東部のカリンガ王国にもたらされたそうです。
それから約900年を経た紀元4世紀、カリンガの王女がスリランカのシンハラ王家に嫁ぐことになりました。この時、娘の幸福を願った父王は、結い上げた王女の髪に護符として仏歯を忍ばせて送り出したそうです。
シンハラ王朝は様々な苦難の時代を経て、遷都をくりかえしましたが、仏歯は王家の象徴として歴代の王たちによって守られ、手厚く祀られてきました。
王朝は16世紀に現在世界遺産に指定されている聖地キャンディに落ち着き、王宮の中に仏歯を祀る仏歯寺(ダラダー・マーリガーヴァ寺院)が建立されました。

スリランカのキャンディには今でもこの仏歯寺が残っていて信仰を集めており、毎年7~8月に、お釈迦様の歯を先頭に100頭もの象が10日間町を練り歩く国家的なお祭りが盛大に催されます。これはペラヘラ祭りと呼ばれ、キャンディは各地から集まる僧や巡礼、観光客で溢れかえるそうです。

歯は健康の象徴。その歯の大切さを人々に説いたお釈迦様の歯を祀るお祭りなんて素敵じゃないですか?!
私たちもこの祭りに思いを馳せ、これからも歯の大切さを伝えるお手伝いをしていきたいと思います。

日野歯科医院